オンブズマン条例に通報者保護制度を規定すべきである
荒井達夫は、2003年に我孫子市「市政オンブズマン及び通報者の保護等に関する条例案」の作成に関与しました(※)。これは、我が国初の議員立法によるオンブズマン条例案であり、全国の既存条例を調査したうえで、従来の制度に内部告発者保護の仕組みを加えた内容を、私一人で書きあげたものです。当時、市議の勝部裕史氏が議員立法について学びたいと申し出てきたため、勉強用として未完成の試案を提供しました。しかし、私との事前の約束に反し、内容に関する関係部局との協議も全くないまま、議会に提出され、さらに選挙活動の宣伝材料として利用されたことから、法的な問題に発展しかけました。
※「市政オンブズマン及び通報者の保護等に関する条例案」関係資料PDFファイルを表示
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私は、2004年の国の公益通報者保護法制定に先駆けて、地方自治体の条例案に通報者保護の概念を盛り込みました。これは、日本の行政監視制度の歴史において、先進的な試みであったことを示しています。また、現行の公益通報者保護法は、行政内部の通報に対して十分な実効性を持たないケースが多く、地方自治体レベルでの補完が必要です。
近年、兵庫県知事や伊東市長の事例に見られるような、行政首長による法の著しく不誠実な執行(公益通報者保護法違反、学歴詐称等)が現実に起きている状況を踏まえると、オンブズマン条例の重要性が改めて認識されるべき時期に来ていると考えます。今こそ、オンブズマン制度の役割を「行政への苦情処理」から「公益通報者保護」へと拡大する議論を進めるべきです。
全国のすべての市長は、「主権者である住民に対して法を誠実に執行する市長である」との宣言を公に行うべきであり(参考※)、オンブズマン(又はオンブズパーソン)条例には、通報者保護制度を明確に規定する必要があると私は提言します。その際、上記の我孫子市「市政オンブズマン及び通報者の保護等に関する条例案」が極めて有益な参考資料になると考えます。
全国のすべての市長は、「主権者である住民に対して法を誠実に執行する市長である」との宣言を公に行うべきであり(参考※)、オンブズマン(又はオンブズパーソン)条例には、通報者保護制度を明確に規定する必要があると私は提言します。その際、上記の我孫子市「市政オンブズマン及び通報者の保護等に関する条例案」が極めて有益な参考資料になると考えます。
※2017.12.5参議院決算委員会 風間直樹議員発言
問題の伊東市では、公益通報に関する規定が市の要綱(※)に定められていますが、職員の通報を受け付け、審議する機関として設置されている「職員等公益通報委員会」(第3条)は、その構成に第三者性が担保されておらず(第5条)、通報者保護の仕組みが欠如しています。このような制度設計では、公益通報制度が本来の目的を果たすことは困難です。
※伊東市職員等の公益通報に関する要綱 令和3年1月26日 伊東市告示第15号
問題の伊東市では、公益通報に関する規定が市の要綱(※)に定められていますが、職員の通報を受け付け、審議する機関として設置されている「職員等公益通報委員会」(第3条)は、その構成に第三者性が担保されておらず(第5条)、通報者保護の仕組みが欠如しています。このような制度設計では、公益通報制度が本来の目的を果たすことは困難です。
※伊東市職員等の公益通報に関する要綱 令和3年1月26日 伊東市告示第15号
なお、国の「行政監視」の仕組みとして、私が提唱する「参議院人事行政監視院」構想は、公務員による公益通報を射程に入れた制度改革案です。