行政監視研究会

「参議院行政監視研究所」構想の骨子

二院制を支持する者の共通認識は、参議院は行政監視機能をより重視すべきであるということです。さらに、今日では行政文書の改ざん事件等で行政監視の重要性が叫ばれる状況にあり、そうであれば、参議院に「行政監視」に関する独立した研究所があって当然ではないか、と荒井達夫は考えます。参議院には行政監視委員会調査室がありますが、委員会審議のためのサポート業務が主体であり、「行政監視」に関する調査研究もプロフェッショナルの育成も極めて不十分で、現実の要請に応えるものとは到底言えません。そこで、荒井達夫は「行政監視」のプロフェッショナルとして、参議院に「行政監視研究所」を創設する案を考えました。「行政監視」が国会の議員と職員という実務家が切り開く新たな学問分野であるとの意味でも、重要な提案ではないかと思います。

●構想の骨子
①  趣旨
良識の府である参議院は、公共の利益の実現を目指し、党派を超えて努力すべきである。特に解散のない6年という長い任期を与えられていることから、行政の組織、人事に対する統制という観点が重要であり、政府と官僚機構をつくる衆議院、それを監視する参議院という新たな視点から国会の行政監視機能を見直すべきである。この考えを実現する重要な一手段として、参議院に「行政監視」を専門とする研究機関を創設することとする。

②  業務
主な業務は次の三つである。
1.「行政監視」に関する情報の収集と分析
2.「行政監視」の手法に関する調査研究
3.「行政監視」のプロフェッショナルの育成
「行政監視」とは、公共の利益の実現のために、主権者である国民に代わって、国権の最高機関である国会が政府と官僚機構の活動を法の誠実な執行の確保の観点から常時注意して見ることである。この「行政監視」の本質的説明に基づき、行政の組織・人事を中心とする「行政監視」に関する情報の収集と分析、行政の実態調査のための「行政監視」の手法に関する調査研究と「行政監視」のプロフェッショナルの育成を行うこととする。

③  組織
所長、副所長の下に研究部と研修部の2部で構成し、次の職を置く。
1. 所長(非常勤)、副所長(常勤)
2. 研究部長(常勤)、研修部長(常勤)
3. 研究員(常勤)、研修員(常勤)
4. 特別調査員(非常勤)
5. 客員研究員(非常勤)
・「行政監視」は本質的に学者に頼ることができない専門分野(国会の実務)であり、所長、副所長、研究部長、研修部長の職に学者を任命することはできない。
・所長は非常勤とし、組織立上げの一定期間は「行政監視」のプロフェッショナルである荒井達夫が務め、その後は「行政監視」のプロフェッショナルとなった元参議院職員が引き継いでいくこととする。
・所長、特別調査員及び客員研究員以外の職員は常勤とし、任用に当たってはその資質(特に「行政監視」に対する熱意)を慎重に判断することとする。
・行政の実態調査を重視することから、人事院、総務省行政評価局、会計検査院において多くの調査業務に従事した経験のあるノンキャリア職員からの任用も積極的に行うものとする。
・特別調査員は、参議院調査室に長期間勤務した経歴を有し、「行政監視」のプロフェッショナルに準ずる知識・経験を持つ者として、所長が認めた者を、期間を限定して任命するものとする。
・客員研究員は、学者、元国会議員等とする。

「行政監視研究会」は、元参議院憲法審査会首席調査員で千葉経済大学特任教授の荒井達夫が主宰する「行政監視」に関する研究会です。
「行政監視」は、国会の議員と職員という実務家が切り開く新しい学問分野です。
このホームページ(2022年8月26日公開)は、荒井達夫が単独で作成しており、「行政監視」に関する最先端の国会論議を紹介し、「行政監視」の教科書となることを目指しています。

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